選ばれたひと

相葉さん、
(以下相葉さんの授業のネタバレが少しありますが、レ/ポはありません。)
相葉さん、大丈夫ですか?この間の授業で、全力で走ってたのを思い出すと、なんだか申し訳ないような気持ちになってくるのですが、そんなふうに思ったらかえって相葉さんは悲しむような気がします。だから代わりに、相葉さん、授業、ちょうたのしかったですね!!あ〜げ〜ぽ〜よ〜☆と伝えたいです。元気になったら、また楽しそうな相葉さんの姿を見せてください。ゆっくり、待ってますね。

相葉さん、わたしは時々、相葉さんは選ばれた人だと思うときがあります。たとえばそれは、先日の授業のことです。相葉さんは、北海道の食肉用豚の牧場に体験レポートにいきましたね。豚のお世話をして、赤ちゃん豚を抱かせてもらって、鼻をすりよせてくる豚もいて、すっかり情がわいたところで、今日殺す豚を選ばなければならないのは、どんなにかおつらかったことでしょう。相葉さんの苦しそうな「ああ・・・」という声が、忘れられません。でも涙を見せることなく、きちんと自分の仕事をした相葉さんを誇らしく思いました。そして豚を屠殺場に運ぶためのトラックの背中を見送って、相葉さんはこう言いましたね。

「今、どんな気持ちで(殺される豚の乗ったトラックを)見送ったんですか?」

なんてことない質問に聞こえるかもしれません。でもわたしはこの質問を聞いて、一瞬背筋が凍り付きました。少し取り違えれば、ここに「あなたは悲しくないの?」と、責めるような意味を乗せることもできるからです。そんなつもりはなくても、そう取られてしまう可能性もある危うい質問です。行間を読む、といえば聞こえはいいですが、どんな意図で発言したのか、邪推したりされたりすることはあると思います。まったくそんなつもりはなかったけど、自分の発言が思いも寄らない意味で相手に伝わって困った経験は、誰しもあるのではないでしょうか?
畜産は、美談じゃありません。ビジネスです。豚をトラックに乗せて、いちいち悲しんでいたら仕事になりませんよね。おじさんは相葉さんの質問に、「今日も良い仕事したなって感じ」と答えていました。わたしもそうだと思います。だからこそ相葉さんの質問に一瞬ドキッとしたんです。でも、相葉さんの言葉には、イヤミや意地悪な気持ちはまったく感じられませんでした。相葉さんには、言葉を大げさにせず、含みをもたせず、ただ言葉通りに使うことの出来る素直さがあると思います。わたしはそれを相葉さんが無邪気だからかな?と思っていたのですが、そうじゃない。相葉さんは、無邪気でも子供でもありません。苦しくてもきちんと自分の気持ちに折り合いをつけて、涙を見せずに自分の仕事を全う出来る強さをもった、素敵な大人ですよね。だからこそこの場面で、危うい質問をぶつけても意地悪にも不躾にならない相葉さんは、やはり選ばれた人だと、わたしは思うんです。

相葉さん、わたしは、そんな素敵な相葉さんのことが大好きです。はやく病気がよくなりますように。